ネットゲーム依存症とは
当院では、2019年11月より「ネットゲーム依存症外来」を開設しました。
インターネットが急速に普及し、生活に必要不可欠なものとなった一方、インターネット使用の制御が困難となり、生活上の問題をきたすインターネット依存 (internet addiction)が社会的な問題となっています。インターネットは手軽で便利であるがゆえ過剰にやり過ぎてしまうことがあります。
オンラインゲームは、アップデートを繰り返し、24時間ずっと遊ぶことができます。毎日、連続してログインするとボーナスポイントが手に入ったり、定期的・不定期なイベントの開催、「ガチャ」のようなギャンブル性も魅力の一つです。
また、ゲームの世界で仲間とつながる非日常感、自分が育てるキャラクターの成長や達成感も得ることができます。課金システムは、より良いキャラや素早い成長、強いアイテムを手に入れることができ、現実では味わえない特別な優越感を満たすこともできます。他にも、スマートフォンやタブレットに表示される広告などがたくさんあります。
ゲーム障害
世界保健機関(WHO)は2019年5月、オンラインゲームなどにはまり他のことが手に付かなくなる「ゲーム障害」を病気の一つに位置づけました。 以下の4つが12カ月以上続く場合にゲーム障害とみなします。
- ゲームをする時間や頻度を制御できない
- ゲームが他の関心事や行動に優先する
- 仕事や学業、健康などに問題が起きてもやめられない
- 個人、家庭、学業、仕事などに重大な支障が出ている
ただし、特に進行の早いとされる幼少期や青少年期においては、全ての症状にあてはまり重症であれば、12ヶ月経たずともより短い期間でも「依存症」とみなしています。
依存度チェック
家族や友人に指摘されても、本人がネットやゲームをやり過ぎていることに気づいていない場合も多いのです。
ネットやゲームに夢中になり過ぎて知らぬ間に周りの人や本人の生活に支障をきたしていませんか?まずは、最近の様子を振り返ってみましょう。いくつかの変化があれば要注意かもしれません。
ネットやゲームに没頭している人のための自己点検
- 最近、家族や友人、同僚に対してストレスを感じるようになっていませんか?
- 食事の時間や家庭での役割分担、家族との外出などに影響していませんか?
- 学校での落第、仕事を解雇されることを考えたことがありますか?
- 睡眠、食事、身体運動、衛生管理が十分にできていますか?
- ゲームに費やす時間が長過ぎませんか?
- 気分が落ち込んだり、気力の低下を感じますか?
- ゲームを続けることやスマホでのチャットを続けるために、言い訳を考えていませんか?
- コンピューターを切ると、すぐに退屈したりイライラしたりしませんか?
- ゲームをするために課金を行い、いつの間にかそれが大金になっていませんか?
いくつ当てはまりますか?
ぜひ「インターネット依存度テスト(IAT)」でチェックしてみてください。
診察・治療
外来では、まずどんな症状や問題があるかを確認します。その上で、自宅で取り組める対策を一緒に考えます。医師の診察以外に、必要時、臨床心理士によるカウンセリングなどが行われます。
入院によるプログラムもあります。テキストを用いて、病気や経過のこと、注意サインや対処法、生活スタイルの見直し、社会資源などを学ぶプログラムやスポーツ、創作活動などのOT活動を行います。
ご家族・ご友人の方へ
ネットやゲームに没頭しすぎて、仕事や学校に行けなくなった人が身近にいませんか?
「いくら注意しても(ゲームを)やめない」「注意すると怒鳴る。壁をたたく、ものを壊す」「夜中もしくは朝方までゲームする、ご飯も食べない。お風呂に入らない」「無断でクレジットカードを使われ、大金をゲームに使われた」といった経験は、ありませんか?
どう対応したらいいのかわからないとお困りの方がいたら、まずは、お気軽に相談ください。
またコミュニケーションがうまく図れず、伝えたいことをうまく伝えられないことがありませんか?
共通して言えることは、家族は困っているのに、当事者は困っていないことです。
当院では、困っていることを当事者へ上手に伝えるコミュニケーションを学ぶ家族教室「依存症を持つ家族のための家族教室 CRAFT」を月に一回開催してます。興味のある方は併せてご相談ください。
受診相談
ご相談は、受診相談係までお電話でお問い合わせください。
ご相談の手順
- 病院へお電話ください。
- 交換手が対応しますので、「受診相談係へ」とお伝えください。
受診相談係
0952-52-3231 受付時間:平日 8:30-17:00
- サービス品質向上のため通話を録音させていただきます。あらかじめご了承ください。
学会・会合等