依存症回復プログラムについて

肥前精神医療センターでは南1病棟をアルコール・薬物依存症の専門病棟としており、入院期間は10週間を基本としています。

入院後、アルコールを安全に身体から抜くために、検査や点滴などの身体管理を行った後に、ARP(アルコール・リハビリテーション・プログラム)を行っています。

ARPではこれまでの飲酒生活、他者との関係、自身の考え・感情を振り返り、退院後の断酒生活に必要な知識と知恵を学びます。同じ病気に悩む仲間から得る知識や知恵も有用です。アルコール依存症は語ることが治療と言われています。体験を語り合い、思いを分かち合える仲間の力が必要であることを学んでください。

ARP 週間スケジュール

9:00~10:00
初めてのアルコール ※1
10:00~11:00
OT活動
11:00~12:00
女性ミーティング
14:00~15:00
SHARP-A
9:00~10:00
初めてのアルコール ※1
10:00~11:00
(第1,3) 退院前発表
(第2,4) CST
11:00~12:00
患者ミーティング
14:00~15:00
アルコール・薬物学習会
9:45~11:15
変化のステージ
ミーティング
14:00~15:00
SHARP-A
18:40~19:40
院内AA
9:00~10:00
初めてのアルコール ※1
10:00~11:00
OT活動
11:00~12:00
外来ミーティング
14:00~15:00
座禅
9:00~10:00
初めてのアルコール ※1
(第1金曜は10:00からの運動)
10:00~11:00
OT活動
(第1) ハイキング ※2
10:00~12:00
(第2) ご家族向け家族会
(第4) F.C.肥前
14:00~15:00
(第1) ハイキングに行かない人はボランティア活動
14:00~16:00
(第2) 院内断酒会

※1:「初めてのアルコール」は、離脱期の方、または、合併症などで活動が制限されている方が対象

※2:ハイキングに参加できない方は、10:00からの運動に参加

ご本人向け各種教室

依存症からの回復は本人の努力だけでは困難です。同じ悩みを持つ仲間と語り合いながら、どうしたら依存を断ち切ることが出来るのか、一緒に考えていきましょう。

ご家族向け各種教室

ご家族向けの各種教室では、依存症についての正しい知識と本人への接し方を学んでいただくとともに、ご家族の不安や悩みの軽減、依存症に悩む家族自身の回復を目的として開催しています。
まずはお気軽にお問い合わせください。

依存症コラム

アルコール依存症って自分で気が付くもの?

一般的に中々気づくことは難しいと思います。依存症の本質的な特徴というのは、飲酒によって重大な問題が発生したにもかかわらず、飲み続ける所にあるんだと思います。自分では上手く飲めていると思っていても、周りの人が困っていたり、何とか入院させたいと思っていても本人はその問題に気づかない、或いは認めたくないというような心理が働いて、受診が遅れてしまうというのがほとんどだと思いますので、自分で気付くのは難しいというのが特徴だと思います。

アルコール依存度チェック

入院したら治る? 治療はいつまで?

依存症の治療を入院で行うかどうかというのは、それぞれケースによって違うと思いますが、一般的にご自身で止め続ける事が難しいというようになった場合には、入院治療が望ましいと思います。入院治療の中で無理やり止めさせるということではなく、依存症と言うのがどんな病気か知って頂いたり、同じ病気で苦しんでいる方たちの話を聴いたり、そういった体験を通して、ご自身で止め続けるためにどういったことをしたらいいのかを治療の中でやっていきます。そういった治療を行っておりますので、入院が望ましいですが、その段階でご自身に決めて頂くというのもあると思います。

依存症であれば必ず断酒をしなければならないかというと、一般的にはそれが理想だと言われますが、中々最初の段階で断酒の気持ちが持てないという方もいらっしゃいます。そうした時にはまずは治療を続けながら外来で減らしていくという取り組みからスタートすると いうこともやっておりますので、ぜひ早目にご相談を頂く、或いは治療に繋がりながら少しずつ目標を修正していく、そういったやり方も出来ると思います。

入院中の治療はどんなことをする?

当院の場合は、基本的に10週間のプログラムということで行っております。
最初にアルコールによって肝臓に障害があったり離脱症状が激しく出ている方の場合については、まず離脱期間と言うことで、点滴をしたり離脱症状の管理をするところからスタートします。
それが終了した後にアルコールリハビリプログラム(ARP)がスタートしていきます。プログラムの中ではアルコール依存症というのがどんな病気であるか、まず病気の特徴をしっかり知ってもらうところからスタートして、ご自身にどんな問題があったか、病気かどうかというところまで含めてこれまでの問題を振り返ってもらいます。

依存症の治療の中では断酒の継続と言うのが必要になってくるのですが、入院期間の後半では、断酒を続けるかどうかも含めて今後の退院後の目標設定をして頂きます。具体的に止め続けるためにどんなことが必要なのか、一般的に回復するために自助グループに繋がっていくというのが大事になっていきますので参加をして頂きながら、ご自身で止めていくための考えをまとめて頂くことをやっていただき、退院後いかに断酒を継続していくかということが大事になりますのでそこに向けた計画をして頂くのが後半の治療になっていきます。

熊本県出身 2000年佐賀医科大学卒業、熊本大学医学部付属病院神経精神科、国立病院機構琉球病院を経て2005年より独立行政法人国立病院機構肥前精神医療センターに精神科医師として勤務。2008年より同センターアルコール・薬物依存症病棟医長、2013年4月より現職。2014年10月より同センター依存症治療センター長(併任)

資格
精神保健指定医、精神保健判定医、日本精神神経学会精神科専門医・指導医、日本医師会認定産業医、2012年より佐賀ダルクを支援する会 会長