rTMS療法のご案内

当院では、2023年(令和5年)10月よりrTMS療法を開始しました。
なおrTMS療法は、2019年6月から保険適応となっております。

お薬の治療効果が十分でない成人のうつ病患者さんを対象として当院の専門医による診療を行っています。
かかりつけの医師から紹介を受け、当院を受診いただいた後、rTMS療法の適応の有無について、専門医が判断します。

判断の基準は、日本精神神経学会が公表しているrTMS適正使用指針に基づきます。適応外と判断された場合はrTMS療法を受けることができません。

rTMS療法とは

専用の医療機器を用いて、前頭前野という脳部位に繰り返し磁気刺激を与えることで特定の脳の活動を変化させ、うつ病の症状を改善する治療です。 アメリカをはじめとした海外では、うつ病の治療に広く実施されています。

対象患者さま

十分な薬物療法を受けたにも関わらず、治療効果が得られない中等症以上のうつ病の患者さまが対象です。

rTMS療法が適応外となる患者さま

  1. 18歳未満の若年者
  2. 同一の抑うつエピソ-ドにおいて、過去にrTMS療法を受けたことがある場合
  3. 明らかな認知症や器質性あるいは症状性の気分障害を呈する場合
  4. 以下にあげる疾患などにおいて、うつ病エピソ-ド(中等症以上)の診断基準を満たさない不安抑うつ症状を示す場合
    • 適応障害を含む神経症性障害、ストレス関連障害および身体表現性障害
    • 成人の人格及び行動の障害
    • 広汎性発達障害(自閉スペクトラム症)
    • 多動性障害(注意欠如・多動性障害)
  5. 復職支援デイケア(リワ-ク)などに参加可能な程度に回復(寛解)している中等症以上のうつ病エピソ-ドの場合
  6. 精神病症状をともなう重症エピソ-ド、切迫した希死念慮や緊張病症状など電気けいれん療法が推奨される症状を示す場合
  7. 抗うつ薬の著しいアドヒアランス低下をともなう場合(抗うつ薬による顕著な副作用による低耐性はrTMS療法の適応となる)
  8. 精神作用物質あるいは医薬品使用による残遺性感情障害を示す場合

上記1~8の適応外基準に該当しない場合でも、安全にrTMS療法を受けていただくことが難しいと判断される場合は、適応になりません。

rTMS療法が禁忌となる患者さま

磁石に反応する金属が頭蓋内にある方、ペースメ-カ-を使用中の方は、治療を受けることが出来ません。
てんかん発作がある方、妊娠中の方などは、治療を受けることが出来ない可能性があります。

受診を希望される場合

まずは、かかりつけの医師にご相談ください。
当院受診の承諾が得られたら、主治医に診療情報提供書の作成を依頼し、受診相談係まで電話でお問い合わせの上予約をしてください。

受診相談係はこちら

受診後の流れ

  • 外来で、rTMS療法を専門とする医師の診察を受けていただきます。
  • rTMS療法の適応があると判断された場合は、原則入院して治療を受けていただきます。
  • 入院後、必要な検査を実施して問題がなければrTMS療法を開始します。
    入院期間は前後の検査も合わせて約8週間程度です。ただし、第3週目の評価において、寛解した場合は中止または漸減します。
    また、第3週目の評価において、治療開始前の評価より改善が20%未満の場合には中止します。
  • 退院時に、当院での治療経過をまとめた診療情報提供書を作成し、紹介元の医療機関での治療につなげます。