院長あいさつ

上野雄文

2023年4月に院長を拝命しました。当院のご紹介を兼ねてご挨拶をさせていただきます。肥前精神医療センターは国立病院機構の精神医療の拠点として運営され長い歴史を持っています。広大な敷地には桜を始め様々な植物が花を咲かせ、太陽のエネルギーを感じる病院です。夏から秋にかけては命が躍動します。周囲の田園は実りが豊か、子どもたちの自転車で疾走する姿が若々しく眩しく見えます。冬になると山肌には雪が白く、近くの温泉宿では佐賀平野の牛肉や有明海・玄界灘でとれた魚の鍋料理が人気となります。

のどかな環境とはうらはらに、命の現場である病院では医師や看護師をはじめとするパラメディカルが大切な患者さんのために昼夜を問わず分刻みで動いています。うつ病や統合失調症に代表される精神疾患のケアはもちろんのこと、身体疾患の対応にも奔走しています。精神医療は命とは直結しないという誤解が多かったのですが、現在では多くのケースで癌や肺炎、免疫疾患などを併発し命に直結する場面も少なくありません。幸い近隣の医療機関に相談することも可能であり医療連携が多くの心ある病院や医療者のお力添えで実現しています。

近年の精神疾患の治療の進歩はめざましく、薬物療法や修正型電気けいれん療法が特に著しく進展しました。また当院では認知症医療、児童精神医学、司法精神医学、強度行動障害医療、依存症医療などの高度に専門化した医療も展開しています。それぞれの分野の研究も進んでおり、この30年ほどで精神医療は大きく姿を変えました。治療抵抗性以外の急性期治療において早期治療、早期退院という目標が現実になり、施設が充足した分野での地域移行が進んでいます。

当院はこれからも精神医療のトップランナーたるべく努力を続ける使命があり、患者さん中心の温かい医療を行っていきたいと考えております。皆様がこの地を訪れてうららかな環境の中で先端を走る医療者の姿を見ていただけることを切に希望いたします。どうぞよろしくお願いいたします。

院長 上野 雄文

副院長あいさつ

村川亮

肥前精神医療センターでは精神科領域における臨床・研究・研修教育の夫々をバランスよく向上させていきたいと考えています。

臨床面ではライフサイクルの各段階で生ずる精神障害や精神保健衛生へのニーズにできるだけ早期より応え、地域に貢献することを意識しています。精神科の専門分野は細分化しつつありますが、当院ではほとんどの領域をカバーできており、各専門分野においてリーダシップを発揮できる人材が揃っています。

研究面では脳生理・神経画像、生化学、薬理、高次脳機能、行動科学、心理、社会精神医学、家族精神医学、司法精神医学、看護などの研究室があり、論文作成、学会発表を続けています。

研修教育面では、医療従事者に対する実践的な教育や研修に力を注いでおり、全国に向けて新たな知見や情報を発信できるよう研鑽を積んでいます。毎年20人以上もの若手医師が、レジデント、あるいは専攻医として臨床研修に参加しています。また、医師養成研修センターでは多数の全国規模研修を発信しています。

私どもは、このような臨床・研究・研修教育を実践的に統合し、これまで以上に患者さんの地域での生活を支え、医療従事者にも就労・教育の場として選ばれる病院作りを目指しています。妥当性の担保された精神科医療を必要とする患者様方、精神科領域の知見を深めたいと願っている医療従事者の皆様方が当院にお越し下さることを心よりお待ちしています。

副院長 村川 亮